西洋美術史講座(東京)第65回2022年7月24日

「印象派の先駆者にして印象派にあらず、マネとは何者か?」
19世紀フランス絵画
講師:佐藤よりこ氏(F6)

エドアール・マネ(1832~1883) パリの厳格なブルジョワ家庭で育つ。1850年から6年間歴史画家トマ・クチュールの 画塾に席を置いていたが、その間ルーヴル美術館に通いより多くのものを学んでい る。近代美術の始まりとされる「草上の昼食」「オランピア」など、作品の多くは巨匠で あるティツィアーノ、ヴェラスケス、ゴヤ、ハルス、アングルなどの作品と関連して いるが、ボードレールは近代性モデルニテの要素の一つとして古典絵画への挑戦と絵画的先鋭性を持った絵画としてマネを挙げている。 マネは大胆かつ平面的で、瞬間を切り取ったと感じさせる日本の浮世絵からも影響を 受けている。マネのすべてを総括している作品「フォリー=ベルジェールの酒場」には鏡のトリックが存在し、その複数の視点の存在は後のキュビズムに繋がることとなる。 また、マネの最大の魅力は絵の具の使い方にあると、彼の静物画は知らせてくれてい る。20世紀においてもなお哲学者や美学者の間で論争の対象となっている難解なマネの作品を、丁寧な解説と共に学びました。

 

マネ、年老いた音楽家、1862年、カンヴァス、油彩、187,4×248,3cm、ワシントン、ナショナル・ギャラリー

マネ、街の女歌手、1862年、カンヴァス、油彩、171,1×105,8cm、アメリカ、ボストン美術館

マネ、チュイルリーでの音楽会、1862年、カンヴァス、油彩、76×118cm、ロンドン、ナショナル・ギャラリー寄託

マネ、草上の昼食、1863年、カンヴァス、油彩、208×264cm、パリ、オルセー美術館

マネ、オランピア、1863年、カンヴァス、油彩、130,5×190cm、パリ、オルセー美術館

左 ディエゴ・ヴェラスケス、道化師パブロ・デ・バリャドリードの肖像、1634年頃、カンヴァス、油彩、209×123cm、マドリード、プラド美術館 右 マネ、笛を吹く少年、1866年頃、カンヴァス、油彩、161×97cm、パリ、オルセー美術館

マネ、エミール・ゾラの肖像、1868年、カンヴァス、油彩、146,5×114cm、パリ、オルセー美術館

マネ、バルコニー、1868〜69年、カンヴァス、油彩、170×124,5cm、パリ、オルセー美術館

マネ、すみれの花束を付けたベルト・モリゾ、1872年、カンヴァス、油彩、55,5×40,5cm、パリ、オルセー美術館

マネ、フォリー=ベルジェールの酒場、1882年、カンヴァス、油彩、96×130cm、ロンドン、コートルード美術研究所